契約者死亡時のクレジットカードの解約手続きと注意点!未払いの相続に注意

契約者死亡時のクレジットカードの解約手続きと注意点!未払いの相続に注意 クレジットカード

身内が亡くなったら遺品の整理をいますが、近年クレジットカードの処理について悩むケースが増えています。

銀行口座は名義人が死亡した時点で凍結されますが、引き落とし口座が凍結されたからと言ってクレジットカードが解約になるわけではありません。

名義人がいないクレジットカードを放置しておくと、以下の問題が生じます。

  • 解約時に残債があると相続人に支払義務が生じる
  • 使っていないカードなのに年会費がかかってしまう

ここでは家族が亡くなったときに、所有していたクレジットカードをどうすればよいかについて解説していきます。

名義人本人がなくなった場合の解約方法・解約時の注意点・残債の支払いを拒否する方法が知りたい方は是非参考にしてみてくさださい。

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クレジットカードの所有者が亡くなったら家族が解約できる

クレジットカードの解約は基本的に名義人本人しか行うことができません。

しかし、カード名義人本人が亡くなられた場合は電話にてが解約できます。

クレジットカードの退会については、原則、カード名義人ご本人によるお手続きが必要です。

カード名義人さまがお亡くなりになられた場合など、ご本人による手続きができない場合は、お電話にて承ります。

お手元にカードをご用意のうえ、カード裏面に記載の電話番号へご連絡をお願いいたします。

ー引用:三井住友カード(https://www.smbc-card.com/mem/update/card_taikai/index.jsp)

名義人がなくなったからといってだれでも解約ができるわけではなく、多くのカード会社は解約手続きが可能なのは「相続人」を原則にしています。

カード名義人が亡くなって相続人が解約する際の手順

クレジットカードの解約は名義人がなくなった場合、家族が解約できます。

解約前の手続きを済ませてから、カード会社に連絡して解約しましょう。

なお、①の解約前の手続きについては次の項目で詳しく説明します。

  1. クレジットカードを解約する前の手続きを済ませる(※後述)
  2. カード会社に電話して解約を申し出る

カード会社に連絡をすると「名義人本人様でしょうか?」と聞かれるので、まず本人が死亡したことを伝えます。

死亡したことを伝えると以下の項目を聞かれます。

  • カード名義人のフルネーム
  • カード名義人の生年月日
  • カード名義人の住所
  • カードの暗証番号
  • 連絡者とカード名義人の続柄

暗証番号は分からないケースがほとんどだと思いますが、分からない項目は分からないと伝えて問題ありません。

また、クレジットカード会社によっては、故人のカード解約に「戸籍謄本」「住民票」「死亡診断書」などの送付を求められる場合もあります。

どこまでが相続人と認められる?

解約できる範囲についてはカード会社によって異なりますが、基本的には亡くなった方と関係性が近い

  • 配偶者
  • 兄弟姉妹

くらいまでの方が一般的です。近親者がいないという場合は、相続手続きを任された弁護士が解約することを認めているケースもあります。

JCBカードの公式サイトでは以下のように明記されています。

法定相続人・受遺者・遺言執行者・相続人の法定代理人(親権者・成年後見人等)または相続手続きを受任された弁護士・司法書士の方よりご連絡ください。

ー引用:JCBカードよくある質問

故人カードを解約する前に家族がするべきこと

クレジットカードの解約自体はカード会社に電話をすれば行うことができますが、解約をする前に行うべき手続きがあります。

手順を踏んでからカードを解約しないとライフラインが止まってしまう危険もあります。

放置しておくと年会費はかかってしまいますが、放置しなければ無理に解約を急ぐ必要はありません。

解約する前に以下のチェックリストを確認してください。

  • 銀行口座凍結と解約の順序に注意
  • 自動引き落としを確認する
  • カードの残債があった場合の対応を確認
  • 解約すると家族カードとETCカードが使えなくなることを覚えておく
  • 貯めたポイントは相続できない
  • マイルは相続できる

銀行口座凍結と解約の順序に注意

亡くなった方のクレジットカードの未払いが残っていないなら、カード会社に連絡するだけで手続きは完了します。

しかし未払い金が残っていた場合は、支払い義務が生じます。未払い金を支払い方法は各クレジットカード会社によりますが、本人名義の銀行口座から引き落とされるのが一般的です。

そのため本人名義の銀行口座が使えないと、他に口座を指定したり振込で対応したり…と少々面倒です。

銀行口座を先に解約してしまうと、カードの未払い金が残っていた場合の手続きが面倒になるので、カードの解約は銀行口座解約の前に行っておきましょう。

銀行への問い合わせも控える

相続に関して銀行に問い合わせてしまうと、その時点で銀行口座が凍結されてしまいます。

クレジットカードと違って名義人が亡くなっていることを知った時点で、利用停止になってしまうので注意しましょう。

自動引き落としを確認する

亡くなった名義人のクレジットカードで自動引き落としに設定しているものはなかったか確認しましょう。

  • ガス・電気・水道などの公共料金の支払い
  • 通信費の支払い
  • 家賃の引き落とし
  • 自宅のローン

ライフラインのかかわる支払いの名義が亡くなった方のまま解約してしまうと、未納の状態が続くためライフラインが止められてしまいます。

また、住宅ローンや家賃の引き落としがされないと督促状が届いてしまいます。

カードを解約する前に、毎月の固定費をカード引き落としに設定していなかったか確認しましょう。

カードの残債があった場合の対応を確認

「クレジットカードの支払いが住んでいた」「今まで使われていなかったカードを解約する」場合は利用料金が支払われているのでそのまま解約できます。

しかし、クレジットカードの利用料金がまだ支払われれていない状態だと、「支払いを引き継ぐ」または「相続を放棄する」のどちらかを選択しなくてはいけません。

支払いを引き継ぐ

クレジットカードの名義人が亡くなった場合、基本的には相続人に支払い義務が発生します。

名義人の引き落とし口座に貯蓄があれば、そのまま利用代金の返済にあてられるので問題はありません。

貯蓄がない場合はカード会社の指示に従って、振込みなどの対応をしましょう。

相続を放棄する

「キャッシングなど、多額の債務が残っていて支払いを放棄したい」

このような場合は相続放棄の手続きが可能です。

名義人が死亡すると、未払いの額は相続人が一括返済しなくてはいけないため、あまりにも負担が多い場合は相続放置を検討しましょう。

相続方法は3種類から選択可能性

相続方法にはすべての遺産を相続する「単純承認」、マイナス分を相続から返済「限定承認」、すべての相続を放棄する「相続放棄」があります。

相続パターン 内容 手続き
単純承認 すべてを相続(プラス・マイナス)する
限定承認 マイナスを相続分から返済し、余った額を相続 家庭裁判所で3ヵ月以内に手続き
相続放棄 すべての相続(プラス・マイナス)を放棄 家庭裁判所で3ヵ月以内に手続き

しかし、相続放棄を選択した場合、プラスの遺産も残らなくなってしまうので注意してください。

マイナス分のみが免除される相続方法はありません。

プラス・マイナスをすべて合わせてプラスになるのであれば、余剰分を相続できる限定承認を選ぶのも手です。

解約すると家族カードとETCカードが使えなくなることを覚えておく

クレジットカードを解約すると、本カードと紐ついていたカードも解約になります。

  • 家族カード
  • ETCカード
  • 電子マネー

家族カードを持っていた場合、あなたの持っている家族カードも解約になってしまいます。

必要なら他のカードを新しく契約しましょう。

なお、死亡した名義人のカードをそのまま使い続けるのはカード会社の規約違反になります。

第6条(カードの貸与と取扱い)

2.カードの所有権は当社に属し、カードおよびカード情報はカード表面に印字された会員本人以外は使用できないものとします。

3.会員は、カードおよびカード情報の使用・保管・管理を善良なる管理者の注意をもって行うものとします。会員は、カードを他人に貸与・譲渡・質入・寄託またはカード情報を預託してはならず、また、理由の如何を問わず、カードおよびカード情報を他人に使用させまたは使用のために占有を移転させてはなりません。

ー引用:三井住友VISAカード&三井住友マスターカード会員規約(https://www.smbc-card.com/mem/kiyaku/pop/kiyaku_kojin.jsp)

カード会社にバレると利用停止や強制解約になるため、故人のカードは使わないようにしましょう。

また、ポストペイ型(後払い式)の電子マネーも使えなくなります。(例えばJCBカードに付帯しているQUICPayや、dカードに付帯しているiDなど)

プリペイド式(チャージ式)の電子マネーは生前にチャージしたものであれば利用することができます。

プリペイド式の電子マネーはnanaco・WAON・楽天Edyなどです。

しかし、電子マネーの相続の対象になっているため使わないほうが無難です。

貯めたポイントは相続できない

クレジットカードの貯まったポイントは残念ながら相続ができません。

多くのクレジットカードではポイントの相続・譲渡・借り入れはできないと述べています。

セゾンカード公式サイトのよくある質問でも、ポイントの相続はできないとしています。

解約は会員様のご親族からのご連絡で承ります。

お忙しいときに大変申し訳ございませんが、カード裏面のお電話番号までご連絡をお願いいたします。
※暗証番号が不明な場合には、最初のガイダンス終了後、何も入力せずにお待ちいただきますと順次オペレータにつながります。

なお、解約されるカードでお付けしているサービスは、ポイント含めすべて無効となりますのでご了承くださいませ。

ー引用:セゾンカード よくある質問(URL:https://faq.saisoncard.co.jp/saison/detail?site=OA5LHO14&id=1333)

家族間のポイント移行が可能なクレジットカード

名義人が死亡したクレジットカードのポイント相続はできません。

しかし、生前前に家族間ポイントを移行できるサービスに入っていれば、名義人がなくなっていても移行可能なケースがあります。

  • 楽天カード…家族でポイントおまとめサービス
  • セブンカード…家族間ポイント移行サービス
  • セゾンカード…ファミリー合算

ただし、ポイントをまとめられるのは「本カード⇔家族カード」「家族カード⇔家族カード」の場合に限られます。

例えば、夫婦間で名義が別の楽天カードをどちらも本カードとして持っていた場合はポイント移行ができません。

また、ポイント移行ができるのは生前にサービスに登録していた場合に限られます。

マイルは相続できる

クレジットカードのポイント相続は基本的に不可ですが、マイルの相続が行うことができます。

一般的なポイントであるTポイント・dポイント・楽天スーパーポイントなどは相続できませんが、ANAマイルやJALマイルは相続が可能性です。

21条 会員の死亡
会員が死亡した場合、法定相続人は、会員が取得していたマイルを、所要の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。

その際、当該法定相続人は、故人である会員のマイルの相続権を有することを証明する書類を弊社に会員の死亡後6カ月以内に提示する必要があります。

相続の申し出が前記の期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。

ー引用:ANAマイレージ会員規約(https://www.ana.co.jp/amcservice/amcfunc/image/amcentry/kiyaku.html)

ANAマイルは相続発生の半年以内に手続きをすれば、マイルの相続ができます。

14条 合算不可

積算されたマイルを会員間で共有、合算および譲渡することはできません。

ただしJALFCおよびJALカード家族プログラム登録会員は、そのプログラムの特典として、特典の引き換え時に限り、登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。

また会員が死亡した際、法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続することが可能です

ー引用:JMB一般規約(https://www.jal.co.jp/jalmile/kiyaku/)

JALマイルは相続人が家族会員だった場合に限り相続が可能です。

なお、外資系のマイルは相続できるマイルと相続できないマイルがあります。

ハワイアン航空のマイルは相続不可、ユナイテッド航空のマイルは相続の可能性ありです。

獲得マイルは、会員の財産とは見なされません。

したがって、(i) 死亡時、(ii) 家庭の事情、または (iii) 法律によって定められているその他の理由によって、獲得マイルが譲渡されることはありません。

ー引用:HawaiianMiles ご利用規約(https://www.hawaiianairlines.co.jp/legal/hawaiianmiles-terms-and-conditions)

会員が死亡または離婚した場合、ユナイテッドは、独自の裁量により、会員の蓄積されたマイルのすべてまたは一部を、ユナイテッドが納得する文書を受領し適格と認めた人物に、適用される手数料の支払いに応じて付与することがあります。

ー引用:マイレージプラスの規則(https://www.united.com/ual/ja/jp/fly/mileageplus/rules.html)

マイルが貯まれが航空系のチケットと交換できたり、会員ランクがあがってワンランク上のシートにアップグレードができるので、マイルが相続できる航空会社は嬉しいですね。

航空会社(マイル) マイル相続
JAL(JALマイル)
ANA(ANAマイル)
ハワイアン航空(ハワイアンズマイル) ×
ユナイテッド航空(マイレージプラス)

家族が把握していないクレジットカードがあっても大丈夫

遺品整理はクレジットカードだけではありません。家族が亡くなり忙しい中で、すべてのクレジットカードを探すのも難しいでしょう。

財布以外の場所にクレジットカードをしまっていて、見当たらない・存在すら知らないカードがあるなんてことはよくあります。

しかし、家族がクレジットカードの存在を把握していなくても以下のような形でカードの存在に気づけます。

  • カードの債務が残っている…数か月以内に督促状が届く
  • カードの利用残高が0円…更新時の新しいカードが届く
  • 年会費があるカード…銀行口座の年会費の引き落としで気づく

年会費がかかるカードは名義人の口座から残高がなくなるまで引き落とされます。

年会費が引き落とされる前にカードの存在に気づく方法は?

年会費かかるカードは銀行口座を見れば、カードの存在に気づくことができます。

しかし年会費が数万円~数十万円するカードを保有していたら…高額な引き落としがかかってしまいます。

阻止するためには「個人信用情報機関」で調べることによって、残っているカードがないか確認ができます。

個人信用情報機関には以下の3つがあります。

  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 貸金業法指定信用情報機関(CIC)
  • 全国銀行個人信用センター(JBA)

個人信用情報機関ならクレジットカード契約者がどのくらいカードを保有しているか、未払いはないかを調べることができます。

情報開示をするには、契約者との関係が分かるもの(戸籍謄本・本人確認書類など)が必要になります。

クレジットカードの海外旅行保険には所得税がかかる

ゴールドカードやプラチナカードなどの上位のクレジットカードを持っていると海外旅行保険が自動付帯されています。

年会費無料のカードでも一部のクレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯しています。

海外旅行傷害保険とは、旅行中の病気やケガが原因で死亡した際に付け取れる保険金です。

この旅行保険ですが、カードの名義人が死亡した場合、相続人に保険金が支払われます。

保険証の支払いはカード会社となっているため、相続人が受け取った保険金には一時所得として、所得税が課税されます。

他の財産は保険契約者と保険料者が相続人でないため、相続で受け取った死亡保険金には相続税がかかりますが、カード会社から受け取った保険には所得税がかかります。

この違いをしっかり覚えておきましょう。

クレジットカード名義人が亡くなった際の解約は慎重に

クレジットカードの名義人が亡くなったらカードの解約が必要です。

解約自体は電話1本で簡単にできるのですが、解約する前に以下のポイントをチェックしましょう。

  • 銀行口座凍結と解約の順序に注意
  • 自動引き落としを確認する
  • カードの残債があった場合の対応を確認
  • 解約すると家族カードとETCカードが使えなくなることを覚えておく
  • 貯めたポイントは相続できない
  • マイルは相続できる

特に「自動引き落としの確認」「カード残債があった場合の対処」についてはよく確認しておきましょう。

カードの未払いがあり、支払を放棄する場合はプラスの遺産も相続できないので、親族とよく話し合ってから相続方法を決めるようにしましょう。

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