クレジットカードは総量規制の対象になる?総量規制が審査に与える影響とは

クレジットカードは総量規制の対象になる?総量規制が審査に与える影響とは クレジットカード審査

みなさんは「総量規制」という言葉を知っていますか?

総量規制とは貸金業法で定められている法律のことで、「利用者の年収の3分の1以上のお金を貸してはいけない」という法律です。

クレジットカードのショッピング枠の審査は総量規制の対象外ですが、キャッシング枠の審査を受ける際には、この総量規制が適応されます。

ここでは総量規制が与えるクレジットカード審査の影響について見ていきましょう。

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総量規制とは借入上限を定める法律のこと

クレジットカードは利用者にお金を貸して後払いするサービスのため、カードローンと同じ貸金業者にあります。

貸金業者には「貸金業法」の法律が適応されています。総量規制は貸金業法の中の1つで、「総量規制は貸付額を3分の1までに制限する」法律です。

例えば、年収が150万円の方は50万円、年収が300万円の方は100万円が業者から借りられる額になります。

年収 借りられる上限額
150万円 最高50万円
300万円 最高100万円
600万円 最高200万円

総量規制の上限額は1社のみの額ではなく、すべての借入の合計額になります。

年収300万円の方がA社で70万円借りていたとすると、B社で借入できる上限額は30万円です。

クレジットカード会社や貸金業者は総量規制を守らず、年収の3分の1以上の貸付を行うと処罰されてしまうため、借入希望額によっては所得証明書(年収証明書類)の提出を求めるように法律で定められています。

  • 1社からの借入が50万円を超える
  • 複数会社の借入が100万円を超えている

申し込み者がこの2つに当てはまる場合は、所得証明書を提出させます。

総量規制は利用者を守るために作られている

総量規制は2007年1月から施行が進められ、2010年6月に施行されました。

総量規制が定められた目的は2つあります。

  • 貸金業者による過剰貸し付けを規制する
  • 多重債務者の救済

総量規制がないと、クレジットカード会社やカードローン会社はいくらでもお金を貸せてしまうため、利用者が多額の借金を抱えやすいです。

事実、総量規制施行後、約4年で以下のような変化が起こっています。

  • 5社以上の貸金業者から借入している多重債務者→約100万人減少
  • 個人破産者人数が2003年から半数に

総量規制の施行と同時に、上限金利が29.2%→15%~20%へ引きあがったことで、私たちが多額の借金を負って返済不能になるのを防いでいます。

クレジットカードのキャッシング枠は総量規制の対象

クレジットカードのショッピング枠(買い物をする枠)は総量規制の対象外になっていますが、お金を借りるキャッシング枠は総量規制の対象になっています。

クレジットカードのショッピング枠とキャッシング枠はそれそれに別の法律が設けられています。

適応される法律 総量規制
クレジットカードのショッピング枠 割賦販売法 対象外
クレジットカードのキャッシング枠 貸金業法 対象

クレジットカードのキャッシング枠は貸金業法が適応されるため、借入できいる限度額は年収の3分の1に定められていますが、ショッピング枠には貸金業法ではなく、割賦販売法が適応されます。

ショッピング枠の利用限度額は支払可能見込額に0.9をかけた金額になります。

支払可能見込額とは、年収からローン返済などの年間請求予定額と生活維持費を引いた額です。

ショッピング枠利用限度額=支払可能見込額{年収-(年間請求予定額+生活維持費)}×0.9

キャッシング枠とショッピング枠はそれぞれ別の法律が適応されており、利用限度額の算出方法の異なることが分かりますね。

利用していないキャッシング枠は総量規制の対象外

クレジットカードのキャッシング枠は総量規制の対象になりますが、利用していないキャッシング枠は総量規制の対象になりません。

例えば、キャッシング枠50万円がついているクレジットカードを持っていて10万円利用していた場合、借入合計は10万円になりますが、1円も利用していなかった場合、借入の合計は0円です。

枠だけでは総量規制が適応されないので、利用しなければキャッシング枠がついているクレジットカードを複数枚所持していても大丈夫ですよ。

総量規制の対象になるもの・ならないもの

クレジットカードのショッピング枠は総量規制の対象外、キャッシング枠は対象だけど利用しなければOK…少々分からなくなってきた方もいると思うので、ここで1度総量規制対象のものと対象外のものを確認しましょう。

総量規制の対象 総量規制の対象外
貸金業者からの借入(カードローン)

信販会社からの借入(カードローン)

クレジットカード会社からの借入(キャッシング)

銀行系クレジットカードのキャッシング

銀行系カードローン

自動車ローン

携帯電話本体の分割払い

住宅ローン

ビジネスローン

高額医療費の支払いのための貸付

リボ払い・分割払い

不動産担保

顧客に一方的に有利になる借入(おまとめローン)

総量規制が適応されるのは個人向けの借入になるため、法人向けの借入は対象外になります。

住宅ローン・自動車ローンは貸金業者からの借入でなく、銀行・信用組合のローンになるため、総量規制の対象外になります。

銀行系クレジットードは総量規制の対象外

カードをつかってお金を借入するカードローン。実は発行元によって総量規制に含まれるか否かが決まります。

  • 消費者金融・信販会社のカードローン→総量規制の対象
  • 銀行・信用金庫のカードローン→総量規制の対象外

銀行が発行するクレジットカードのキャッシングや銀行カードローンには銀行法が適応されるため、総量規制は適応されません。

銀行系のキャッシングはすでに貸金業者から総量規制上限まで借入をしていても。銀行キャッシングの審査に通れば借入が可能です。

その分消費者金融の審査より銀行カードローンやキャッシング審査の方が厳しくなる点には注意しましょう。

顧客に一方的に有利になる借入(おまとめローン)

おまとめローンとは、複数社で借りている借入を1本化(おまとめ)し、毎月の返済を楽にする返済方法です。

おまとめローンを組むことで、金利が低くなればその分支払いの負担を軽くできます。

おまとめローンのように、顧客が一方的に有利になる借入は総量規制の対象外になります。

クレジットカードの保有枚数は総量規制の審査に影響しない

クレジットカードが総量規制の対象になるのは、キャッシング枠を利用したときのみのため、カードの枚数は総量規制に影響しません。

極端な例ですが、クレジットカードを20枚持っていたとしても、持っているだけでは総量規制の対象にならないのです。

法律でもクレジットカードの保有枚数については規制がないため、審査に通れば何枚でもカードを持つことができます。

複数枚クレジットカードを所持すれば、ポイントが貯まりやすい、お得に利用できるなどのメリットもありますが、持ちすぎると返済不能になる可能性もあります。

カードの平均所持数は1人あたり2枚~3枚程度です。管理できる範囲でクレジットカードを保有しましょう。

住宅ローンなどの借入額の多い借り入れには不利に

クレジットカードの保有枚数が多くても、カードローンの少額の借入なら影響はありません。

しかし、住宅ローンなどの金額が大きい借入は、カードの保有枚数が多くなる傾向にあります。

クレジットカードのキャッシング審査のさい、借入額を聞かれることはあっても、カードの保有枚数を聞かれることはありません。

申し込み枚数が多いと審査に通りにくい

クレジットカードの保有枚数は審査に影響しませんが、短期間に何枚ものカードに申しんでいると「申し込みブラック」になり、審査に落ちやすくなってしまいます。

クレジットカードを申し込むと、個人信用情報機関に情報が残ります。

半年間に4枚以上クレジットカードやカードローンに申し込んでいると、カード会社から「お金に困っている人」「カード代金貸し倒れのリスクがある」と判断されていまい、審査に落ちやすくなってしまいます。

短期間で複数枚のカードに申し込まないように注意しましょう。

総量規制の上限を超えて審査を通す方法とは?

総量規制の上限ぎりぎりまでお金を借りていると、新しいクレジットカードの審査には通りにくくなってしまいます。

キャッシング枠を申し込まなくても、カード会社から「貸し倒れのリスクがある」と判断されてしまうためです。

カード会社は個人信用情報機関の情報で借入額を把握している

クレジットカードを申し込む際に他社の借入状況を記入する欄があります。

自己申告制だから、少なめに書けば審査に通るのでは?と思う方もいるかもしれませんが、カード会社は個人信用情報機関の情報で申し込み者の借入額を把握できるため、簡単にバレてしまいます。

個人信用情報機関には以下の情報が記録されています。

  • クレジットカードの申し込み記録
  • クレジットカードの利用記録・返済記録
  • カードローンの申し込み記録
  • カードローンの利用記録・返済記録
  • その他金融に纏わる情報(ローンや分割払いなど)

カード会社は個人信用情報を確認すれば、申し込み者に今どのくらいのキャッシングが残っているのかを知ることができます。

そのため、総量規制ギリギリでクレジットカードに申し込むと審査落ちしてしまうのです。

キャッシング枠を0円にして申し込む

ほとんどのクレジットカードにはキャッシング枠がついていますが、枠を0円にして申し込むと総量規制の対象になりません。

カード会社に対して「キャッシング枠は利用しません」と意思表明になるので、使う予定のない方は0円にして申し込みましょう。

もちろん、今キャッシング枠を利用している方は、早めの返済を心がけましょうね。

銀行カードローンを利用する

総量規制の対象になるもの、ならないものの表にまとめた通り、銀行系クレジットカードのキャッシングや銀行カードローンは総量規制の対象外になります。

現在、総量規制ぎりぎりまでキャッシングを利用していたとしても、銀行の審査に通過できれば借入が可能です。

ただし、銀行系のクレジットカードは審査が厳しい傾向にあります。

クレジットカードの種類 発行元 主なカード 審査難易度
銀行j系クレジットカード 銀行 三井住友カード 高め
航空系クレジットカード 交通機関 ANAカード・JALカード やや高め
信販系クレジットカード 信販会社 oricoカード・REXCARD 普通
流通系クレジットカード  ショッピングモール  イオンカード・楽天カード  比較的易しめ
 消費者金融系クレジットカード  消費者金融 アコムACマスターカード  消費者金融の独自の審査基準

銀行系のクレジットカードは他のクレジットカードより審査難易度が高いので、総量規制ぎりぎりまで借入している方が審査に通るのは少々ハードルが高いかもしれません。

しかし、銀行系クレジットカードのキャッシング金利上限は14.5%と、他のカードに比べて低金利です。(他のカードだと上限が18.0%程度)

おまとめローンを申し込む

顧客に一方的に有利になる借入、おまとめローンは総量規制の対象外になります。

現在借りている金融会社より金利が低い会社でおまとめローンを組むことができれば、返済の負担も軽くなりますよ。

総量規制とクレジットカードの審査についてのまとめ

クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠によって、統制する法律が異なります。

ショッピング枠(普段買い物をする枠)は総量規制の対象外なので、安心して申し込んでOKです。

ただし、キャッシング枠は総量規制の対象になっているため、申し込みには注意が必要です。

適応される法律 総量規制
クレジットカードのショッピング枠 割賦販売法 対象外
クレジットカードのキャッシング枠 貸金業法 対象

これを機会に総量規制の対象になるもの、ならないものについて覚えておきましょう。

※銀行系クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象になりません。

総量規制の対象 総量規制の対象外
貸金業者からの借入(カードローン)

信販会社からの借入(カードローン)

クレジットカード会社からの借入(キャッシング)

銀行系クレジットカードのキャッシング

銀行系カードローン

自動車ローン

携帯電話本体の分割払い

住宅ローン

ビジネスローン

高額医療費の支払いのための貸付

リボ払い・分割払い

不動産担保

顧客に一方的に有利になる借入(おまとめローン)

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