経営者のための便利なクレジットカードが法人カード。経費精算のための強い切り札です。
法人経営者だけでなく個人事業主でも持てるため、ビジネスカードとも呼びます。
この法人カードの「限度額」について調べてみましょう。
なお法人カードと、一般のクレジットカードについて、限度額の考え方はほとんど一緒です。
この記事の大部分は、個人で持つクレジットカードについても当てはまります。
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法人カードの利用限度額はショッピング限度額のこと
クレジットカードには、利用限度額の設定があります。
限度額を超えてしまうと、決済しようとしても、エラーとなってしまいます。
限度額とは、クレジットカードで決済できる上限金額のことですが、きちんと理解しようとすると、少々複雑です。
限度額の意味は個人のカードも法人カードも同一ですが、法人カードだとより重要になります。
総利用枠とショッピング枠、キャッシング枠の関係
クレジットカードの限度額について整理します。
まず、「総利用枠」があり、その中にショッピング枠とキャッシング枠とがあります。
ただ、ショッピング枠とキャッシング枠とが別建てになっていて、それを合算して総利用枠になるといった、単純なものではありません。
ごく普通のタイプのクレジットカードは、総利用枠の範囲でショッピングができるという設計となっています。
つまり「限度額イコールショッピング枠」になっています。
キャッシング枠がある場合は、ショッピング枠と完全別建てではなく、ショッピング枠の中にキャッシング枠が含まれる形となります。
キャッシング枠を使うと、ショッピング枠が直接減ります。現金を借り入れることで、決済に回せる額がそれだけ少なくなるのです。
逆にショッピングをすることで、直接キャッシング枠が減ることはありません。ただ、ショッピングによって総利用枠が減るので、結果的に利用限度額の上限になってしまいキャッシングできなくなることはあります。
上記の仕組みがよく見られるものですが、中にはショッピング枠とキャッシング枠とが別建てのクレジットカードもあります。
その場合は総利用枠の考えはありません。
いずれのケースでも、限度額とは、ショッピング枠のことといっていいでしょう。
限度額はひと月の利用額ではない
限度額とはショッピングに使える金額ということになります。ビジネスの場合は、仕入れであったり、経費であったりします。
ですが、勘違いしがちなので気を付けてください。クレジットカードを使っていると毎月請求が来ますが、「限度額はひと月に利用できる額」ではありません。
クレジットカードは、決済した日と実際に代金(通常は引き落としにより)を支払う日との間が空いています(支払いサイト)。最大1か月、短いものでも20日程度あります。
後払いで支払えるのがクレジットカードの最大のメリットですが、限度額については、支払いサイトの日数、支払いが猶予されている期間にも関係してきます。
最終的に銀行引落しで支払いが済まないうちは、限度額はリセットされません。
50万円の限度額のカードを入手し、最初の締め日までの間に50万円を使い切ってしまうと、その後この支払いが完全に終了するまで、これ以上のカード利用はできません。
この点に気を付けてください。
つまり限度額とは、「2か月弱の間に決済できる上限の額」です。
法人カードと個人のカードの限度額の違い
法人カードの限度額の仕組みも、個人のカードと同じです。ですが利用していると、違って見える部分もあるでしょう。
それは、子カードの枚数が多い点です。個人のクレジットカードだと、限度額が合算されるのは家族カードのみです。その家族も、世帯が同一ならそれほど支払いが多額になることはありません。
いっぽう法人カードの場合、従業員に持たせると、飛躍的にカード利用額合計が増えることが多くなります。
ゴールドカード・プラチナカードの方が限度額が高い
クレジットカードにはランクがあります。
年会費無料のカードを含む、もっとも一般的なものがスタンダードクラス。さらにその上級カードとして、ゴールドカードやプラチナカードがあります。
法人カードにも、このカードのランクがあります。
上級カードになると、一般的に限度額は高く設定してもらえます。これは、それだけ利用者の信用が高いことによるもの。
さて、法人カードの場合、限度額の意味は一般カードと比べてはるかに大きなものです。
一般カードより、高い限度額が強く求められます。
これは項を改めて見てみます。
法人カードの限度額が重要な理由
生活費を決済するための一般クレジットカードと異なり、法人カードは、ビジネス上の仕入れに使うことが多いです。
他には経費の精算のためでもありますが、いずれの場合であっても、高い決済額が求められます。
従業員が増えると、なおさらです。
ビジネスで利益を上げるための必要経費であり、法人カードは限度額が商売の根幹を支えているのです。
ゴールドカードやプラチナカードを選ぶ意味は、それだけ大きくなります。
法人の経費利用額は高額
経費な仕入れ費用が高額になるビジネスの場合、法人カードを使っていても限度額が心配になることがあります。
インターネット系サービスだと、クレジットカードしか使えないことも最近は多くなっています。現金払いができたとしても、振り込んでから確認してもらうまで時間が掛かります。
そうすると、法人カードだけでも何枚も作っておく必要がある場合もあります。
これで解決するわけではありません。子カードを持っている従業員に対し、限度額を超えたから別のカードを持たせるのは難しいからです。
法人カードの限度額が高ければ、複数持つにしてもメインのカードをしっかり決められるので、事務処理が最小限で済みます。
仮に別のカードがないまま限度額を超えてしまうと、最悪の場合ビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。
法人カードの利用額は審査によって決まる
法人カードの利用額(限度額)も、一般のカードと同様、審査によって決定されます。
個人も法人も、事業内容を審査されます。ただそれだけではなく、個人情報をチェックされるのは、法人カードの名義人である個人事業主または法人代表者です。
個人として、カードやローンの滞納がある人は信用が乏しいので、仮に法人カードの審査に通ったとしても限度額は低めになるでしょう。
法人カードの限度額を増額することはできる
ビジネスにおいて肝となる、法人カードの限度額。
中には、10万円しか限度額がないという経営者もいます。これでは使いみちが乏しいと言わざるを得ません。
増額してもらうことはできるでしょうか。
信用実績が積みあがって自動的に増額されている
クレジットカードは、利用実績を積めば、利用者からアクションを起こさなくても、限度額を徐々に上げてもらえます。
利用実績とは、しっかり使って遅れずに支払うことです。
毎月の支払日の返済遅れはいけません信用をなくすので、限度額アップは望めなくなります。
ビジネスとしての信用失墜は絶対にいけません。
信用が積み重なっていけば、限度額は上げてもらえます。
半年で増額されるケースも
クレジットカードは、入会時に審査がおこなわれています。
審査に基づいて限度額が決定される以上、それが入会時の信用の程度です。法人カードにおいては、それが事業主のビジネス上の信用であるわけです。
その後信用を高くしていくことで限度額を増額してもらえますが、信用は急激に高くなるものではありません。
ある程度の時間は掛かると思っておきましょう
もっとも、しっかり使ってしっかり支払えば、信用は徐々に上がります。
与えられた限度額の範囲内である程度の決済をすることで、ある程度信用が積み上がります。
これにより、6か月程度の実績で限度額を上げてもらえることもあります。
ただ、期待し過ぎはいけません。通常、限度額を上げてもらえるまで1年以上は見ておいたほうがいいでしょう。
カード会社に増額を依頼する
限度額の増額を待っていてもいいのですが、利用者側から増額を申し込むこともできます。
とはいえ、入会後6か月以内であれば、信用がそれほど変化していません。この状態では決していい結果は出ないでしょう。
もちろん、増額をしてもらうためには入会時よりも信用が増していなければなりません。最低でも、しっかり使ってきちんと返すことは必須です。
一律の制限なし=無制限に利用できるわけではない
クレジットカードには限度額が設定されているのが普通ですが、中には、利用額に一律の制限のないものもあります。
アメリカン・エキスプレス・カード、通称アメックスや、ダイナースがこのタイプ。
いずれも、ステイタスが高いとされるカードです。
ただし、ダイナースはともかく、アメックスのほうは決して入会審査が厳しいわけでもありません。むしろ、他のカードの審査は通らなくてもアメックスの審査には通る人も多くいます。
さて、これらの高ステイタスのカードにも、法人カードがあります。一律の限度額が設定されていないのは同様です。
アメックスやダイナース法人カードを使うと、無制限になんでも購入できるのでしょうか?
一律に制限がないといっても、そのときどきの信用により、使える額は決まっています。ですから、高額決済の際、急にカードが切れないということもあります。
高額決済の場合は、事前にコールセンターに相談しておくといいでしょう。
臨時に限度額を上げてくれる場合もありますし、また現金のデポジットにより決済を可能にしてくれることもあります。
法人カードの利用限度額を比較
法人カードの限度額を比較してみます
法人カード名 | 限度額 |
---|---|
ダイナースクラブ ビジネスカード | 一律の制限なし |
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード | 一律の制限なし |
オリコEX Gold for Biz M | 10万~300万円 |
三井住友ビジネスカードfor Ownersクラシック | 10万~150万円 |
三井住友ビジネスカードfor Ownersゴールド | 50万~300万円 |
三井住友ビジネスカードfor Ownersプラチナ | 200万~500万円 |
JCB法人カードスタンダード | 10万~100万円 |
JCB法人カードゴールド | 50万~250万円 |
JCB法人カードプラチナ | 150万円~ |
MUFGカードビジネス(VISA・Mastercard) | 40~80万円 |
P-one Business Mastercard | 10~300万円 |
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | 公表なし(30万円程度から1,000万円超まで) |
法人カードの利用限度額は重要な要素の一つ
この記事では法人カードの利用限度額とは何か、利用限度額はどうやって決めるのか、増やすにはどうするべきなのか、詳しく解説しました。
法人カードを選ぶ際には、海外旅行傷害保険やポイント還元率、付帯サービスなど様々なポイントがありますが、利用限度額はそれらのポイントの中でも重要なポイントの一つです。
この記事を参考に、法人カードの利用上限を確認し、「上限まで使って支払いができなくなった」ということにはならないようにしましょう。